地域特産品販売支援レポート
(1)顧客ニーズへの対応
人間のニーズは、通常ある人において感知されている欠乏状態であり、人間の欲求は、人間のニーズがある人の文化と個性によって形づくられたものとして現れる。組合員の目標を達成する鍵は標的市場ニーズと欲求を明らかにし、望まれている満足を競合他社よりも効果的かつ効率的に提供することから成り立っている。
各組合員の経営理念という枠組みの中で、市場環境との連携をいかにうまくしていくかを実現させるものである。市場環境はつねに変化している。その変化の多くは、外部環境によってもたらされているのである。
経済情勢や施策の変更、技術革新の流れなど、その他要因も含め、数多くの変化が経営環境に大きな影響を与えることになる。事業活動とは、顧客を満足させる為のプロセスであり、利益はそれに対する報酬である。
顧客に受け入れられる可能性の高い商品をいかに多くて販売していくか、そしてその結果いかに最大の顧客満足を引き出すかが求められている。
下図は組合・顧客・競争相手の3者の関係を示している。競争相手との差別化を図ることより優先順位が高いテーマは顧客ニーズの的確な把握と選択決定要因への対応である。
(2)地域特産品の販売促進
①ネーミングの重要性
販売戦略においてネーミングというのは大きな比重を占めている。その名前の響きがそのまま商品のイメージに結びついて売行きに影響を与える場合も多い。しかし、独りよがりのネーミングでは悪い印象しか残らないことに注意する必要がある。
農産物の直売所や農協系スーパーマーケットのように地域の人がいつも利用するようなところに出す商品と、たとえば観光地で初めての客が利用するような土産物店に出す商品とでは、ネーミングの比重は異なってくる。地域の人がいつも利用するようなところに出す商品は、あまり奇をてらったものはよくない。奇抜なネーミングよりストレートにそのものの個性を表現した方がよい。
しかし、旅行客や観光客が多く利用するような販売場所などに商品を展示する場合などは、ネーミングによって売行きに大きな差が出る。パーキングエリアや道の駅などでは観光客が最大の顧客であるため、商品の名前もお土産みたいなところがある。したがって一瞬にしてお客さんの心をつかむ、面白そうなものだな、と興味を持ってもらえるようなネーミングに販売力がある。
②ネーミング方法
一般には農産加工品のネーミングというと、地域特産品であるということから、地域の名所旧跡や原料にちなんでつけている例が全国的には多い。具体例を挙げると、南信州特産加工開発連絡会ではコンニャクの中にゴボウを入れて煮付けたものを「恋愛ごっこ」と名付けて4,000万円も売った。これなどは、コンニャクとゴボウがよく合うということで名付けたものだが、ネーミング効果で飛ぶように売れたケースである。
③ラベルで商品の特徴をPR
農産物直売所など地域密着型の店舗で展示販売する商品は、あまり奇をてらった名前にしないほうがよい。その商品の特徴をきちっと表現したネーミング、デザインにすることに心がける。例えば、調味料類は店頭で同じような名前が並ぶので、その調味料の特徴を前面に出すようなネーミングやラベルにする。
具体的には、「健康マヨネーズ 胡麻風味」「健康マヨネーズ 梅干し」「和風調味料 梅味噌」という商品のラベルは、その商品の特徴である「胡麻風味」「梅干し」「梅味噌」という文字を大きくする。調味料でも、「胡麻」や「梅干し」、「梅と味噌」といった健康によいものが含まれていることを強調しなければならない。
同様に「玉葱ドレッシング」は、「玉葱」という文字を大きくしたラベルに玉葱の写真を入れる。さらに玉葱ドレッシングは外から玉ねぎのみじん切りが浮いているのを見せることで、びんが並ぶ棚のなかでも特徴を出すことができる。その結果、手造り農産加工品販売店舗の売れ筋商品のひとつになることができる。
④びんの色や包装での演出
例えば、発酵果実酢は手造り農産加工所のオリジナリティの高い商品であるが、緑のびんに黒いラベルを使うことで高級感を出す。ジュース類では、びんを白い和紙で包んで店頭に並べる。白い和紙で日射しによるジュースの変色を抑えながら、高級感が出せる。コストはかかるが、その価値は十分にある。農産加工品の包装は見栄えをよくし、品質を保つ上で非常に重要な要素であることを忘れてはならない。
⑤ラミネート袋(詰め替え用)の活用
真空パックするときに加工品を入れる袋である。ラミネートというのは「積層する」という意味で、いくつかのプラスチックフィルムが重ねて貼り合わせてあり、表面が樹脂の膜で保護加工されている。特徴の違う素材を重ねることで、それぞれのよさが合わさった一枚の袋になっている。重ね合わせの方法、使うフィルムでさまざまな性質のフィルムがつくられている。色を保持したいものの包装袋としてはアルミ素材の入った袋を使うこともある。このアルミ素材が入った袋は光を通さない。日光で色あせてほしくない加工品に使う。袋代は少し高いが、色のよさを優先したいので、アルミ素材の入った袋を使っている。この袋は入っているものが褐色しない効果があるが、そのことは同時に中身が見えないことを意味する。せっかくの商品が見えない。したがって、表側に貼るラベルやシールで中身の雰囲気や商品を表現しなければならない。
(3)販売チャネルの構築
現在地域特産品の販売は、いわゆる流通業者を介した取引と直売形式で実現している場合の二通りがある。その販売チャネルは会員制による通販、口コミ戦略および催事販売等々、事業の内容に応じて複層的になってきている。
①固定客づくりのための会員制通販組織
販売を強化するために、ファンづくりによる固定客化を狙いとして、会員組織の発足・通販組織作りがある。会員には商品の案内や年間イベントの案内、製品の案内、夏冬のギフトカタログの送付などが考えられる。これらの情報をもとに、会員は単なる通販の顧客にとどまることなく、食と農と自然とのかかわりや環境に対する配慮の大切さを体験することができる。その結果、固定客づくりに大きな貢献をすることができる。会員組織の立ち上げに先立ち、販路開拓のためにギフト商品を、全組合員による、あらゆるルートを活用した口コミによる受注活動が求められる。
②直営の販売拠点確保
直営店の開店による本格的な自社の製品を店頭で販売する拠点の構築がある。
③農産物の直売所開設
農産物の直売所を開設し、農産物の販売拠点としての展開がある。同時に近在の登録農家が持ち込む農産物の販売も認め、地域社会との共存実現を可能にする。また,通販において、自社農場の生産量だけでは不足する場合には、地元の農家による生産物供給で対応できる体制を構築する。
④直営の健康レストラン展開
飲食に関しては直営の農場レストランの店舗展開がある。コンセプトは「健康」であり、自社で生産された農産物を主体にした素材にこだわり、ターゲットとしては地域特産品の主たる購入者である若い女性や主婦層を想定する。
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